乱華Ⅰ【完】
瞬間、正宗が輪の中心に進んで行き、私はタクに引かれて倉庫を出た。
そのまま向かいの倉庫2階に連れて行かれて、夕方ぶりのソファー。
何、だったの…?
タクは私の隣に座ってカチリ、タバコに火を点ける。
ゆらゆらと揺れる紫煙。
タクはただジッと前を見据えているだけで何も言わない。
「……」
「……」
「……あ、の」
「あ?」
「何、今、のは…」
いや、本当に。
なんで私連れて来られたの?
「………お前、今の奴…知らねぇか?」
フルフルフル
首を横に振る。
知らない。
タクは私の目を探る様にジッと見てくる。
知らない、よ。
あんな知り合い私にはいない。
と、いうか私に知り合いなんていない。
暫く見つめ合った後、はぁー息を吐いたタクが、私から視線を外しソファーにドサリもたれ掛かった。