乱華Ⅰ【完】
「お前さー…」
ギシリ、タクが身体を此方に向けたのが気配でわかった。
私はただ、テーブルにある灰皿に視線を落として「…何?」聞き返す。
「どこから来たわけ?」
「………」
「…………」
「…どこでも……いい、でしょ」
「………」
「………」
沈黙。
タクは多分まだ私を見てる。
なんとなく視線を感じて、私は灰皿に視線を向けたまま。
「質問、変えるわ」
「…」
「お前、どこに帰りてぇの?」
その質問に思わず顔を上げてしまった。
タクはやっぱり私を見たまま。
「……、」
「………悪ぃ」
「…………。」
何でそんな事を―…聞くの?
何で謝ったの?
…わからない。