乱華Ⅰ【完】
eighth
「タクさんおはようございますっ!」
「おー」
「…………。」
ウルさい。
何度目になるかわからない挨拶が飛ぶ。
その度にダルそうに返事をするタクと、それを遠巻きに見てキャアキャア騒ぐ女の子。
…うざってぇ。
隣のタクはだらだら歩きながら欠伸をかみ殺している。
なのに
「タクさん欠伸してるぅ〜」
「きゃーかっこいー」
「抱かれたーい」
…意味わかんね。
なんで欠伸してかっこいいんだよ。
抱かれたいとか関係なくねぇか?
10月も終わる頃。
転校してから2週間。
暑さもなくなり、朝は肌寒い季節。
最早慣れた光景では、ある。
ある…けどさぁ、
「うっぜぇ」
「あ?」
あ、ヤバ。
声でてた。