桐華ー天然ボケ男が学園の王子様(女子)に恋しちゃったら【完】
あ、先越された。
俺より先に彼方と桐さんが、泣き声をあげる恋理のもとへ駆け寄った。
立ち尽くして、握り拳で、憚ることなく泣く姿。
……いつかも見た気がする。
「恋理ちゃんどうしたっ?」
「あ、こら安里!」
一番に恋理を抱きしめた桐さんから、彼方が奪う。
安定の位置です。
俺は遅れて駆けつけたけど――
恋理は彼方に抱き寄せられてしゃくりあげていた。