桐華ー天然ボケ男が学園の王子様(女子)に恋しちゃったら【完】
「………え」
彼方さんは躊躇なく、一人の生徒の顔脇に拳をぶつけた。
いや、校舎の壁は痛いでしょ……。
背中しか見えないので、彼方さんがどんな表情をしているのかはわからなかったけど、声ははっきり聞こえた。
「恋理と氷室に手ぇ出してみろ。頭がい骨陥没じゃ済まさねー」
……どんな脅し文句だ。
声は真剣で、もうこれ以上悪くならないだろうと言えるくらい蒼ざめている男子生徒たち。
彼方さんは続ける。
「わかった?」
こくりこくり、操り人形みたいな動きで肯くと、やっと彼方さんは拳を解いた。
「じゃあ行っていいよ。あと、お仲間たちがいたら今の、そっちにも伝えておいてねー」