女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
第1章 生還。

私はバカだと認めよう。




 目が覚めた。



 こぽこぽと小さく音が聞こえている。

 真っ白な天井には今は消えている蛍光灯。中途半端に閉められた窓から薄日が差し込んでいた。

 私は横になったままゆっくりと首を回す。点滴が、ゆっくりと落ちているのが見えた。

「・・・・病院」

 声は、出た。

 良かった、喋れるらしい。

 また天井をじっと見詰めた。

 指をゆっくりと動かしてみる。一つずつの指を曲げ伸ばししてみてから、ホッとため息をついた。

 病院にいる。どうしてかというと、それは――――――――



 白い錠剤、男の顔、吐き気、目が回る、回る、回る、回る・・・・



 思い出した。



 私は、死ななかったんだ。




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