女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
「ないない。きっぱり、ない」
それを聞いて彼女はホッとするのかと思ったら、まだ冴えない顔をしていた。
「・・・違うんですか。じゃあ、何でだろう・・・」
小さな声で呟くのに、私はさてどうしようか、と考える。
まだ相手をするべきか・・・。だけどあんまり時間もないしなー。小林さんは俯いて、固まっている。それを見ていたら何だか可哀想になってきた。
ま、乗りかかった船だし、折角向こうから接触してくれたんだし、そう思って、私は姿勢を正して聞く体勢になる。
「何が気になっているの?」
「・・・・」
彼女は俯いて、無言で固まっている。
私はコーヒーを飲んでその姿を眺めた。・・・だーめだ。殻の中に閉じこもってしまっている。
「あのー、化粧も直したいし、話がそれで終わりなら・・・」
言い出すと、ぱっと顔を上げた。
「守口さん、変なんです」
「え?」
・・・・あいつは元々おかしいが。とは、口には出さなかった。そういう意味じゃないんだろうし。
「最近、よそよそしくなったし、あまり会ってくれなくなったし、それに・・」
一気に話だそうとする彼女を、ちょっと待ってと止めた。