女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
好奇心は波紋を広げる。
翌日は、本当に昼過ぎまで寝ていた。
7月の太陽は私のアパートの気温をぐんぐん上げていく。
暑さで目を覚ました。
「・・・・もう、無理か・・・」
仕方ない、起きよう・・・と布団の上で伸びをする。こうも熱くちゃ自分が汗臭くて嫌だ。
桑谷さんの夢をみていたように思う。いい夢か悪い夢かは覚えてない。でも彼のゴツゴツした印象だけが余韻で残っていた。
大きなあくびをして、洗面所で顔を洗って寝すぎで腫れた瞼を冷やす。
・・・そうだ、今日は銀行に行かなきゃ。
窓をあけて風を通し、扇風機をつけた。
部屋の鍵は替えたが、通帳置き場も勿論変えていて、念には念をと届け印も変えておいた。これであのバカ男が血迷ってこの部屋に泥棒に入っても大丈夫、と確信が出来るまでにしたかったのだ。
本日、私の通帳には消えた貯金の一部が戻る。
50万だけど、それでも返ってくる!拍手~!そう言いながら自分で拍手した。
やっぱり嬉しくて、鼻歌交じりで本日最初の食事を作った。
あぐらをかいて床に座り、ご飯を食べながら行儀悪くお金の勘定をする。
ちゃんと50万あったけど、新札だった。
・・・・・新札?銀行で降ろしたってこと?首をかしげる。