女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
百貨店側の社員さんは、リカー売り場もいれば子供服売り場、スポーツ用品店と、色んな売り場の人だった。デパ地下に存在するリカーや鮮魚や青果はともかく、5階の子供服やスポーツ用品店の社員とどうやって知り合ったのかは謎だ。
百貨店に出入りしているメーカーが階違いの百貨店側の社員と近づけるキッカケなんてある?私は首を捻る。何年もここで勤務しているならともかく、斎だってその点では新参者だ。まだ2年やそこらでどうやってそれほどの知り合いを作れたのだろう。
飲み会?
それとも小林部長繋がり?
ここが、くさいよね・・・と思った。
ある程度情報が集まったと感じたので、また販売員のおば様達には、会ってる人に女性は居ないようでしたし、浮気の心配はなさそうですね、と終わりを宣言しておいた。
小林さんには私から大丈夫よと言っておくから、と。
「楽しかったのに、もう終わるの?残念~」
隣の田中さんは笑った。
私も笑顔で、そうですね、と言い、でもあまりやりすぎて守口さんにばれてしまうと小林さんが可哀想ですから、と返しておいた。私がちょこまか動いているのは斎にバレても構わないが、中身までバレてしまうと面倒臭い。ここらで一度やめないといけない、そう思ったのだった。
カウンターの中で息をつく。接客中も、色んな情報を頭の中でまとめるのに忙しかった。
そして休憩時間、店員食堂でコーヒーを前にしてまた考えていると、ポンと肩を叩かれた。
「お疲れ様」
頭の上から声が降ってきて、振り向くと桑谷さんが居た。