女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


「服、着ましょうか?」

 観賞に値する裸であるとは思ってない。だけど彼はにっこりと笑って首を振る。

「寒くなかったらそのままでいて」

 私は枕を引き寄せて頭をのせ、頷いてから口を開いた。

「・・・・こんな格好ですけど、昨日の続き、いいですか?」

「朝から抱いてもいいの?」

 彼が目を開いて私を見る。私はにこりともせずに打ち消した。

「―――――――その続きじゃなくて。店食の話です」

 彼は、あははは~と軽く笑った。そして右手で顔をこすって、ため息をつく。

「どうぞ」

「私が何をしてると思ってるんですか?」

「危ないこと。・・・多分、ガリフの守口に関することで」

「どうして危ないことだと思うんです」

 彼がうつ伏せから横向きに転がって、強い片手で私を抱き寄せた。

「・・・階段で君が落ちてきたの、あいつが押したんだ、と確信を持ってる」

「・・・・」

「その後注意してみていたら、君達二人は売り場で話そうとしてない。通路ですれ違う時なんかはにらみ合ったりしている。それと――――――」

「それと?」

 間近にある一重の瞳が真っ直ぐ私を見ている。


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