女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
「何が問題か教えてくれ」
私は台所の入口に肩を預けて考える。
・・・どうする、この人にどこまで話す?凄い勢いで考えた。だけどもこれ以上私が個人で動いてどうにかなるものでもない、てことは判っている。お金の出所が知りたければ、もっと突っ込める協力者が必要だ。
この人は、斎が私を階段から突き落としたことは知っている。
それに百貨店の社員。
――――――――よし。
覚悟を決めた。
「・・・・斎が、50万返してきたんです。でもあいつがそんなお金持っているわけがない。どこで手に入れたのかと調べてました」
「うん」
「そしたら、百貨店の社員さんと最近たくさん話しているのが判りました」
そして、皆から集めた情報と、私の考えを話した。シーツの上に座り込んで、目を伏せたまま桑谷さんは聞いている。そして、全部を聞き終わってから、にっこりと笑った。
「俺が、調べる」
「は?」
「こっちの社員には、俺の方が話は聞きやすい。俺が調べる。だから頼むから―――――」
彼の笑顔がヒュッと消えた。睨みつけるような目線で、低く言った。
「・・・しばらく大人しくしといてくれ」