女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
手を洗って化粧を直し、トイレを出る。
通路で鞄からペットボトルのお茶を出して飲んだ。さあ、戦場に帰ろう。
今日は早番だし3人体勢だから、残業の必要もなく6時には上がれるだろう。
それまでには、桑谷さんから返信もきているはず―――――
売り場へ戻った。
「では、お先に失礼します」
カウンターの中の福田店長と大野さんに会釈をした。
「はい、お疲れ様。明日はゆっくり休んでね」
二人はにこにこと手を振ってくれる。
6連勤をしていて、明日はやっと休みだった。やれやれ、と肩の凝りをほぐす。
今日は今で、前年より5万円もプラスしている。これから夜にも売れれば、予算達成に大いに近づけることとなる。しかしその分、忙しさも強烈だった。
私などは一人身なので帰っても自分の世話だけすれば済むが、店長も大野さんも家族がいる。これだけ働いた後で家事も育児もするのか!と私は大いに尊敬した。・・・すごい、出来そうにもないわ、私には。
お盆もあと一日で終わりだ。明日は私が休み、その次は店長が休む。そしてこの夏の繁忙期は一応の終わり、となる。
ぐるぐると首も肩も回しながらロッカールームに向かう。
携帯をチェックしたけど、桑谷さんの返信は入ってなかった。胸に失望を感じてハッとする。
・・・・今、私。・・・残念、って思った・・・?
がっかりした?彼からのメールがなくて。