女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
そして面接の約束をゲットした。受かる自信もある。なんせ、保険をつけてくれだとか、たくさん入らせてくれとか言わないし、暇で独身、しかも金のない私は朝から晩まで働ける。
他の応募者が更に経験有りだとかでなければ、貰えるだろう。
仕事、これでオッケー。
斎と同じ室内の空気で呼吸することになれば、とりあえずの第一歩だ。
面接はいつでも大丈夫だと伝えると、よっぽど人に困っていたのか、それとももう締め切りなのか、今日これからいけるか、と聞かれたので承諾した。1時間後には売り場に着かなきゃなんない。切った電話をベッドへ放り投げて、身支度を整えるために洗面所に飛び込んだ。
心労と入院中の自分ケアさぼりのため、30歳にしてはふけて見える疲れた外見を、魅力的にみえるようにごまかす。
髪を整え、艶が出るまでブラッシングして、BBクリームで肌を整えた。眉毛を抜いて整え、アイラインを控えめにいれる。
よく考えたら斎に会ってしまうかもしれないのだ。ブサイクさ満開でいけば、嘲笑されて自分が惨めになるに違いない。あんたのことなんて何も気にしてないのよってな状態でいくことが望ましい。
20分でした割にはいい出来栄えに満足して一人で頷く。
やれば出来るじゃん、私!!
すごくキュート、とは行かないが、この5日間のぼろぼろ状態を思えば同一人物には思えない。
よし、と気合を入れて、鞄を引っつかんで出発した。