女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
第6章 攻撃。

斎の謝罪。



 それから2日考えた。

 ここら辺で身を引くべきか。斎にもうお金は返してもらわなくてもいいと告げて。

 いや、でも。

 何も言わないべきか。もう変につつくのはやめて大人しくしておくか。

 その内また、斎は女をみつけるだろう。私のことで痛い目にあったなんて考えてないはずだ。面倒くさいバカな女に捕まった可哀想な俺、くらいには思っているかもしれないけど。

 
 答えの出ないまま、私は繁忙期の頂点も過ぎて余裕の出来たカウンターで売り上げノートをつけていた。

 ノートの上に人影が落ちたので反射的にいらっしゃいませ、と言いながら笑顔で顔をあげると、斎が立っていた。

「すっかり販売員、だな」

 同僚の顔をしていた。まるで隣の店の人と世間話をしている気軽な雰囲気でうちの店のカウンター前で笑顔を浮かべて立っていた。

 私は笑顔をあからさまに消す。

「・・・・御用ですか、守口店長」

 ノートを閉じて、静かな声で聞く。口元に笑みを浮かべたまま斎が頷いた。

「・・・噂で聞いたんだけど・・・今、鮮魚の桑谷さんと付き合ってるのか?」

「――――――は?」


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