女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
店員食堂ではその話で持ちきりだった。
私は斎の元カノということで、守口さんて本当はどんな人だったのと、色んな人が私に近寄ってきて驚いた。
中にはあなたが何かしたのではないの、とあながち間違えではない非難をする人も出たりして、それを聞いた福田店長を心配させた。
私は決心して、店長が休憩から戻った時に、お話があるんです、と切り出した。
彼女は綺麗に書いた眉をひそめて言った。
「お願いだから、辞めるなんていわないで」
心配の余りか彼女の瞳が揺れている。
私は安心させるように、笑って返事をした。
「そんなつもりはないです。でも・・・・店長には嘘もついていました。全部話す時期が来ました。お時間をとっていただけないですか?」
福田店長は行動も決断も早かった。
時給をプラスするからと休みの竹中さんを呼び出して店番を頼み、私を連れてお茶に出たのだ。
鮮魚売り場から、桑谷さんが客寄せの声を止めて見ているのを知っていた。
知っていたけど、振り返らずに無視をした。
そして、店長と一緒に入った喫茶店で、最初から話した。
福田店長は目を潤ませたり怒ってこぶしを握り締めたりして、私の全部の話を聞いた。
「あの男、何てやつだったのかしら!今度会うときがあったら、私生卵をぶつけてやるんだから!」
声を荒げる店長にまあまあ、とトーンダウンをお願いする。