女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
よし、準備オーケー。
掛け声を出して家を出る。
今日の予定は、新しい仕事、帰ってから鍵の付け替え、部屋作り開始。
その前にまず、悪魔と対面。
百貨店で働く人用の店員出入り口で、福田店長と待ち合わせた。
「おはようございます、今日から宜しくね、小川さん」
相変わらず素敵な笑顔の女性だった。朝日が彼女の黒髪にあたってキラキラと光っている。
私もおはようございますと笑顔で言って、一緒に門から入る。ここが今日からの私の戦場なのだ。給料を稼ぎ、悪魔への仕返しをするための場所。
各階の説明を受けながらロッカーまで行った。
「制服は明日には届くから」
ニコニコして言う店長に笑顔で頷く。目的が復讐でも、私にお給料をくれる大事な会社だ。役にたつように努めなければ。
売り場に行くと、本日の朝番である女性を紹介された。50代くらいのふくよかな女性だった。丸い目がくるくるとよく動いて可愛らしい人だった。
「大野です」
笑顔で挨拶を交わし、商品の説明や売り場の紹介を受けた。