女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
呪いとキスと決断と。
「タネ明かしをして頂戴」
夕方で、私の新しい部屋はオレンジ色に染まっていた。
いぐさのラグの上にタオルケットを広げて、裸のままで彼に腕枕をして貰っていた。
「ん?」
桑谷さんが閉じていた目を開いて天上を見る。
「どうやって私をみつけたの」
・・・ああ、と呟いて、彼は私の頭の下から腕を抜いて起き上がった。
「その前に水をくれ」
台所で冷蔵庫を開ける音を後ろで聞きながら、私も起き上がって下着をつける。
ブラはつけずに直接Tシャツを着た。
「・・・あれ、服着ちゃうの?」
水を飲みながら、桑谷さんがこちらを見た。その残念そうな声に笑ってしまう。私は小さく笑いながら、彼を振り返って言った。
「風邪引いたら大変。明日から仕事だし」
「―――――明日から仕事?」
コップを置いた音がした。彼のその改まったような声に、私は首を傾げる。何か、変なこと言った、私?
「・・・・何だ、辞めたわけじゃなかったのか・・・」
こちらにやってきて、ジーンズを穿いて隣に座った。
「辞めてないわよ。ただの3連休」
きょとんとして言うと、彼はう~と唸った後で、やられた~・・・と顔を両手で覆った。