女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


 あの悪魔を倒さなければ、私は二度と人を愛せないかもしれない。男性に全くの興味がなくなってしまうかもしれない。


 それは・・・・バカらしいことだわ。



 閉じていた目を開けた。



 やっぱり、アイツには詫びを入れさせなきゃ。





 二日目の今日は遅番の上に研修中ということで昼過ぎの出勤だったので、朝、開店と同時にブランド物を売りに行った。

 大して興味もなく、斎が買えというから買ったバック4点は、9万3千円に化けた。

 思い出も捨てられた上に現金まで手に入ったぜ~!とウキウキしてその足で美容院に駆け込む。

 肩を越えるストレートの髪を顎のラインで揃えてもらって、色を暗めに変えた。

 前よりも落ち着いた印象になり、出来上がりに満足する。これで三角巾でも帽子でも髪をくくる必要もないし、肩こりも改善されるような気がする。

 軽くなった頭につい笑顔が出る。ああ、軽い。少しずつでも、私はこうやって笑えるようになって行かなきゃ。そう思った。


< 32 / 274 >

この作品をシェア

pagetop