女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


 とにかく先に品だししてきます、それから人を呼びますので、と女の子が倉庫の奥へ走って行ったので、私は立ち上がって斎を見下ろした。

「・・・・何、言って・・・」

 唖然とした顔で斎が下から見上げてくる。

 私はにやりと笑って、斎が落とした茶紙を拾い、自分の店の品出しの紙袋を持った。

 思ったよりも時間をくってしまっている。店で大野さんがやきもきしていることだろう。だけど、最後にこいつに是非ともトドメを―――――――――

 顔中に嘲笑の表情を浮かべて、私は低い声を出す。

「あんあんよがり声を出して痙攣してみせれば、男は簡単に騙されるのね。あんたはいつでもバカみたいに簡単に騙されてくれたわ。それに、言わせて貰うけど――――――」

 扇情的に舌で唇を舐めてみせた。

「・・・・あんた、キス下手よ」


 そしてそのまま出口に向かって歩き出した。

 後ろは振り返らなかった。


 本当は踊りだしたかったけど、意思を総動員して耐えた。

 美丈夫で売っている斎には天地がひっくり返るほどの驚きだっただろうし、我に返った時、屈辱に震え悔しさで歯噛みするだろうことは、火を見るより明らかだ。

 抱いてやっていると思ってた女に言われた言葉。あんたはアレが下手なんだよ――――――――――



 ミッション②男のプライドを粉々にする


 クリア。



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