女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


 種明かしをすると、あらまあ~って手で口元を覆った。

「うわあ~・・それって浮気ですよね?許せないー!あ、それで別れたとかですか?」

 少し考えて、またイメージを悪く出来ると思いついたから首を振った。

「ううん、別れたのは春先。性格の不一致で。でも今、影の理由を知ってしまったけど」

 まさか、ここに来る5日前に別れたとは言えない。

 亭主もちの竹中さんは、浮気が一番許せない~って一人で怒っていた。よしよし、これでまたこの話が広がるな。心の中で私はほくそ笑む。

「だってその頃には皆知ってましたもん。部長の娘さんと守口さんのこと。店食でも仲良くお昼してたし!」

「・・・・まあ、終わったことだしいいんだけどね」

「よくないですー!守口さんて最低だー!」

 一緒になって怒り、同じように斎を睨みつけた竹中さんに気付いて、斎が私へ視線を送り、うんざりしたような顔をした。

 ざま~あみろ。確実にアンタの敵は増えてるぞ~。

「あ、今日会えますよ、小川さん」

「え、誰に?」

 竹中さんの声にハッとして振り返る。彼女はニヤニヤと笑いながら言った。

「小林部長の娘さん。守口さんも、店長だし参加しますもん」


< 52 / 274 >

この作品をシェア

pagetop