女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~

 
 めいめいにグラスを持ち、百貨店の店長の挨拶があったあと、乾杯、そしてメンズの服飾から男性二人が司会を仰せつかって、ゲームを始めたりしていた。

 ざっとみて300人くらいの集まりだろうか。前回は人もまばらでしらけてたけど、今回は沢山きてるわね~と店長が驚いていた。広い従業員食堂には溢れるほどの人。

「私達、いる?これなら強制参加させないで欲しかったわ」

 店長達がそんなことを言いながら苦笑している。確かにねえ、私も頷く。十分、人いるじゃん。

 それにこんなに人がいたんじゃ、斎と小林部長のお嬢さんがいても見つけられるか判らない。

 私は肩を落としてため息をついた。

 ま、とりあえずご飯食べようっと。

 ところが、フードコーナーには飢えた販売員が鈴なりで、どうにも食料をゲットできそうにない。

「ダメね。空くのを待ちましょうか。これだったら焼きそばになりそうな予感よ」

 福田店長が諦めた笑顔でそう言って、私はこれまたガッカリした。

 ・・・・・まーじで。食べ物すらもらえないんじゃ、参加した意味がないから。だけど諦めきれずにフードコーナーを遠目にじーっと見ていたら、側のドアが開いて地下の小林部長が自ら地下の余り惣菜をワゴンに乗せて入ってきた。

「お待たせ~。ここからも取っていいぞ~」

 何てこと!私ったら、ついてる~!!

 それに群がった人に便乗して、私も適当に掴んだものを腕にのせていく。

 戦利品、手巻き寿司1パック、握り寿司3パック、串カツセット2パック、豚マン6個入り1箱、それと有名なサラダ屋のスパゲティーサラダ。


< 55 / 274 >

この作品をシェア

pagetop