女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
近すぎてピントが合わず、誰の顔かが判らなかったけど、舌をねじ込んできた感覚にハッとした。
これは―――――――斎だ!
「んっ・・・!!」
カッとして、私は全身に力を込めてヤツを押し返そうとする。だけどそれは余計に私のバランスを崩し、体の向きを変えて壁に押し付けられてしまった。
斎は腰に左手を後頭部に右手を回して私を固定し、角度を変えて激しく唇を求めてくる。その気持ち悪さに背中におぞけが走った。
「~!!」
ばっか野郎~!!放しやがれこの脳無し男!気持ち悪いんだよクソじじい~!!心の中で暴言を吐きまくり、両腕にも両足にも力をこめる。
舌で口内をまさぐられて身震いをした。
・・・畜生、このっ・・・・バカ野郎ーっ!!
息継ぎのためにほんの少しヤツの唇が離れた瞬間に、私は凄い勢いで斎の唇に噛み付いた。
「!!」
ドン、と私を壁まで突き飛ばして、斎が手の平で唇を押さえる。
「ってえなあ!何すんだよ!」
更なる攻撃を恐れてか数歩後ろに下がって、ヤツはギラギラした目で睨みつけてくる。