女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
バックヤードの危険・倉庫
斎との関係は日に日に悪化していたが、それとは別に現実的な嬉しいことがあった。
デパ地下で働き出して最初の給料日、通帳を見ると13万2300円の振込みがあったのだ。
「おおおお~!」
思わず銀行の前で飛び跳ねてしまった。保険も年金もひかれて手取りでこれだけあれば、生活出来る。
勿論ギリギリだし、贅沢も貯金も出来ないが、赤字にはならないように出来る金額だ。
しかも、途中で辞める事になった派遣会社から、日割り計算での約2週間分の給料も振り込まれていて驚いた。
契約違反をしたのはこちらである。貰えないものと思っていた。恐らく交通費も含めてであろう、9万円も振り込まれていた。
二つの収入を合わせるとマトモな収入になるではないか!これが喜ばずにいられようか!
「・・・ああ、ほんと良かった~・・・。神様、ありがとう」
思わず小声で呟いてから、自分で打ち消した。いやいや、派遣会社様、ありがとう、だな。
派遣会社には、百貨店での勤務が決まったあとに、担当者に電話して謝罪していた。
原因は言わず、急な入院で携帯を家に置きっぱなしだったことは伝えたのだ。仕事に穴を開けてしまい、ご迷惑をおかけしました、と。長年私の担当だった長野さんは声を和らげて、それならばとチャンスをくれたが、その時にはもうすでに斎への復讐計画が始動していたから、お礼を言って断ったのだった。