pianissimo.
「でもさー、浮気も許せちゃうぐらい、好きなんだろーなー」

と。郁香は確実に止めを刺しておいてから、ようやくドップリ沈んでいる私に気付く。


「あらま、重症だね」

挙句、呆れたようにそう言った。


酷い……。



「ついでにこれも教えとくかぁ」


郁香が妙に勿体ぶった前置きをするから、イラッとする。「まあこれ、親友として言うけど」なんて、更に恩着せがましいことまで口にする。ムカつく。



「ライガがボコッた子の元カノが、今のライガの彼女」


こっちが止めか、と思った。これに比べたらさっきのなんか全然。瀕死の重傷程度。今ので――

正に息の根を止められた。


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