pianissimo.
仕方がないから、意を決して私から口を開いた。


郁香に、今までのことを大雑把に説明した。もちろん、ところどころ曖昧に濁して。




「ラッシーの話聞いてると、ライガ、別人……」

郁香はぼんやりした視線を私に向けて、気の抜けた声で独り言のように呟いた。


「うん。私も……。告白現場に居合わせちゃった時、別人だと思った。でもライガは『どれも本当の俺』って言ってた」



またほんの少しの間を開けてから、

「ラッシーはどうしたいの?」

どこか気遣うような眼差しを私に向けて、郁香は尋ねた。


「ライガの言葉を信じたい。例えそれが全部、嘘だとしても……嘘なら、騙されていたい。ライガが私から離れて行った時、凄く傷付くと思うけど、それでもいいと思ってる」


「ライガは……。断れない理由があるんだとしても、ライガの彼女はあの子で、やることもやってる。そういうのも……平気? ラッシー、辛くないの?」


「平気じゃないけど、今は――

今は、ライガから離れることの方が辛いし、絶対に嫌」


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