pianissimo.
ライガの居ない日々は、まるで自分の欠片を失ったみたいに、空虚で寂しくて。
それでも夏休みは、いつも通り、何食わぬ顔をしてやって来る。
塾には通っていない私も、学校の夏期講習とか進路相談とかで、結構多忙だった。
それでも、ふとした時に想うのは、ライガのことばかり。
信じて待つと決めたのだけど、やっぱり気になって仕方がないのは、きっと愛しいから。
学校からの帰りはいつも、遠回りをしてライガの家の前を通るのが、もう当たり前になっていた。
今日も丸一日、びっちり授業を受けての帰宅。
ここのところずっと、カラリとした快晴が続いている。見上げれば、眩しいほど鮮やかで濃厚な水色の中、くっきりとした輪郭に縁どられたモコモコの真っ白い雲が、その存在を強烈に主張している。
暑いな。
自転車をゆっくり目にこいでいたって、汗ばむ。制服ブラウスが纏わりつく不快感に、思わず顔を顰めた。