pianissimo.
「思わせぶり……かなぁ? 本音言ってるだけだけど」


視線だけ戻して横目でライガの顔を見た。凄く近い位置に、不思議そうに小首を傾げたキョトン顔があった。


ライガはどうしてわからないの? わかってくれないの?

私の気持ち……。



「じゃあ私も本音言うけど。『切なくなるからそういう顔やめて』って言われても、そうさせてんのはライガなんだから、私にはどうしようもない。ライガは、もっと切なくなればいいと思う。私なんかライガの何百倍も切なくて辛いんだから。同じぐらい切なくなればいいと思う」


ツラツラと口を衝いて出て来た言葉は、本心だけど言うつもりなんかなかった言葉だ。

ハッとして慌てて両手で口を塞いだけれど、もう手遅れ。出てしまった言葉は回収できないし、ライガにしっかり届いてしまった。


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