pianissimo.
けれど、やっぱり一日一回は眺めないと気が済まない。習慣とは恐ろしい、まるで麻薬だ。と言っても週末は、わざわざ登校してまで花たちに会いたいとは思わないのだけど。



「まあでも、一応」

「ふうん。ご苦労さん」

郁香が右手を軽く上げて言う。けれどその直後、呆れた風な小さな溜息をポッと吐いた。


郁香は私と違って要領がいいし、人付き合いが巧い。だから私が居ない時はいつも、他のグループの中に違和感なく溶け込んでいる。

それでも昼食後、私が一人でいそいそと中庭へ出掛けて行くのを、いつも寂しそうに見送る。


誘っても一緒に来てくれないんだから、私にはどうしようもない。

――って、我儘女の言い分だなぁと自覚はしている。


< 81 / 401 >

この作品をシェア

pagetop