pianissimo.
昇降口手前で数人の男子と擦れ違った。ツンと煙草の嫌な匂いが鼻をつく。


瞬間的に悟った。中庭に時々落ちている吸い殻は、こいつらの仕業か、と。



無意識に、ほぼ反射的に踵を返し、彼らの跡をつけていた。文句を言うとか、そんな大それたこと、私なんかに出来る訳がないけれど。ただ、何年何組、どこのどいつかを把握してやろうと思っただけ。



「うぜぇな。わざわざ靴に履きかえて中庭とか」

「仕方ねぇよ、屋上、先客居たし」

「あいつと関わるとろくなことねぇからな」


何のことだかさっぱりだけど、男子たちはどうやらご立腹だ。


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