pianissimo.
「あそこでも別に構わねぇけど、変な女来るしな」

「今頃もう来てんじゃね? 花だけがお友だちなんだろーよ。いっつも話し掛けてるよな、気持ち悪ぃ」


あ、私のことだ。今さっき擦れ違いましたけども。そしてその『気持ち悪い女』は今、中庭ではなく君たちのすぐ後ろに居ますけども。


心の中で強がりを言ってはみたものの、やっぱり凹む。自然と足の運びも遅くなり、彼らとの距離もぐんぐん開いていった。



けれども男子の話し声は、未だ私の耳に容赦なく届く。


「いいじゃん、どうせもう雨降ってくるし」

「そうかぁ? 休み時間中は持ち堪えそうじゃね?」


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