誠の桜に止まる蝶
「その考えごとは解決したんか?」

「はい。・・・なんとか。」

「蝶ちゃん癒しの力があるんやってな。自分のことは癒せないんか?」

「あ、癒せるんですけど・・・癒さないんです。」

「どうして?」

「すぐに自分で癒してしまうと痛みを忘れてしまいます。みなさんが感じる痛みを忘れないようにしたいから・・・だから癒しません。それに・・・」

「それに?」

「この力は私の体力を使います。自分で力を使ってほかの人を助けられないのはいやだから。」

力なく笑う。

「そうか。でもな?蝶ちゃん。自分のことを大切にせなあかんよ?」

「・・・はい。」

山崎さんに軽く叱られてしゅんとする。

「まあ、反省してんならいいやろ。んじゃ今度も怪我したらわてに言ってな?蝶ちゃんがほかの人を癒すならわてが蝶ちゃんを癒してやる。」

「はい。ありがとうございます。」

「約束だぞ?」

「はい!」

私と山崎さんはゆびきりをした。
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