誠の桜に止まる蝶
俺からしたら石田散薬は土方さんの詩集と同じくらい面白いものだけど一君にとっては絶対的なものらしい。

「わかったよ。ありがとう。貰っておくよ。」

そういうと一君は嬉しそうに頷く。

・・・・後で土方さんの部屋にばらまいておこう。

そんな悪だくみを考えていた。

「さあ、そろそろいくぞ。隊士たちを待たせるわけにはいかない。」

「そうだね。んじゃ今行くから一君は先に言ってて」

「わかった。」

そう言って一君は戻っていく。

俺は懐に石田散薬をしまう。

そしてもう一度桜を見上げる。

「儚いか・・・」

一君の言葉を胸で反芻(はんすう)する。
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