月の綺麗な夜に。
ここの玄関は引戸じゃないから、私には開けられない。
レオだったら開けられるのに。
『お母さん!もう、いかなきゃいけないの。
開けて!
開けて!
玄関を開けて下さい!』
「どうしたの?
」
優しく頭を撫でられた。
「お家にかえるの?」
子供が帰るまで待って欲しそうだったが、お母さんはゆっくりと玄関を開けてくれて、
「車に気をつけてね!」
と走り去る私の姿が小さくなるまで、見送ってくれた。