月の綺麗な夜に。
「なんでそんな事するの!捜して来る!」
洋子が怒って母を問い詰める。
「何処に捨てて来たの?」
「100円橋の下だよ。」
100円橋とは、土手沿いに自転車で10分位走った、豊里大橋の次の橋の事で、橋の名前は別にあるのだろうが、地元のみんなは100円橋と読んでいる。
「私、捜して来る!」
「行っても無駄なんじゃない?箱から出したら、走っていっちゃったし。」
猛ダッシュて自転車を漕ぎ始めた洋子の耳には届かない。