月の綺麗な夜に。
私は、とぼとぼと歩いていると段々悲しくなってきて、
『お母さん〜。』
『洋子ちゃん〜、卓也ちゃん〜。』
名前を呼びながら歩いた。
涙が溢れないように空を見上げると綺麗な月が出ていた。
『ねえ、お月様。私の家が何処だか知らない?』
尋ねてみても返事があるわけでもないのに。
『お腹へったな〜。』
自転車で10分の距離でも、来た事がない知らない場所。近所しか行った事がない私には、永遠に続く果てしない道のように感じられた。
とっくに家など通り過ぎた事に気ずかずに。