晴、時々雨
「お帰りなさいませ、お嬢様。本日はかなりお疲れのようで。」
『優紀、雅美が優紀に会いたいからって走り出すのよ。今日、雅美も一緒に帰っても良いかしら。』
「もちろんでございます。」
『雅美、良いってー。』
「やった~。優紀さん今日も格好いい。」
『雅美お嬢様、本日も元気が良さそうで。』
「えへ。」
『あ、それから優紀。今日は陛太くんもご一緒しても良いかしら。』
「もちろんでございます。」
「それでは、雅美様、陛太様、お乗り下さい。」
「ありがとう、優紀さん。」
「ありがとうございます。」
「お嬢様、ちょっと…」
『何よ。』
翔乙莉は手招きをする優紀の方へ寄り添って行った。
「とうとう、お嬢様にも下の名前で呼ぶような お相手が出来たのですね。」
『な、なにいってんのよ。陛太くんは上の名前よ。貴方と同じ様なものだわ。貴方も優紀って女子の名前って間違われるって言ってたじゃない。彼だってそうだわ。』
「そうでございましたか。これはこれは失礼致しました、お嬢様。」
やっぱりとでも言いたそうな顔つきだ。
「それでは出発致します。」
『陛太くんの家に行くのにはどのくらいかかる?』
「えっと、30分ぐらいかな。」
(30分か。雅美は50分。陛太くんと2人きりになることは無さそうね。良かった。)
「あ、そうだ。優紀さーん。」
「何でございましょう。」
「今日、私塾だから いつもの塾の所で降ろして下さい。」
「かしこまりました。」
(え、嘘。最悪ー。雅美の塾って学校から20分ぐらいよ。これじゃあ私、陛太くんと2人になっちゃうじゃない。)