晴､時々雨

「お嬢様。」

『何よ。』

「お嬢様は陛太様の事を下のお名前で呼ばれになっていませんでしたが…」

『ええ、そうよ。言ったじゃない。陛太は名字だって。』

「ええ、お伺い致しました。しかしながらお嬢様。陛太様はお嬢様の事を`櫻井さん'ではなく`翔乙莉'とお呼ばれになっておりました。」

(ドキッ)

『それは、翔乙莉って呼んで良いか聞かれたから良いって答えただけだわ。』

「陛太様はお嬢様の事が好きなのでしょうか。」

『そ、そんな事無いわよ。陛太くんは今日転入してきたばかりなのよ。』

「そうでしょうか。お嬢様はもしかして、メアド交換などもされたのでは？」

『したわよ。でもそれはただ、友達が欲しかったんじゃない？あ、ｽﾄﾗｯﾌﾟも貰ったわ。』

「やはりそうでございしたか。ただただ友達が欲しいからとメアド交換をしたりｽﾄﾗｯﾌﾟをあげたりするのでしょうか。」

『する人はするんじゃないかしら。』

「では。お嬢様はお気付きになったでしょうか、お嬢様と雅美様の扱いの違いを。」

『どういう事よ。』

「雅美様の事を陛太様は何とお呼ばれになっているのでございますか？」

『雅美…いや相葉さんだわ。あっ』

「やはり。陛太様はお嬢様には名前で、雅美様には名字でお呼ばれになっていらっしゃるのでございます。」

『あ…』

「さらに、言葉遣いが違っておりました。雅美様には初めて会ったような、お上品な話し方でございました。しかし、お嬢様には親しいような話し方でございました。」

『あ…そういえば…』

「つまり、お嬢様にもﾓﾃ期がやって来たのでございます。」

『おー。なるほどねぇ。遂に来たのね、私にもﾓﾃ期が。』

「さようでございます。」

『なんだか、恥ずかしいわね。』

「お似合いでございますよ。」

『もう、優紀ったら。』

「ハハハ。」

『ウフフフ。』








櫻井 翔乙莉。
遂にﾓﾃ期がやって参りました！