待ち受けカノジョ。
「チッ、アイツいつの間に!」

女の子の一人が小声で話す。

「平石クン、気をつけてね。小川って『サセ子』だから」


えっ…?

サセ子?

あの桃香ちゃんが?


「『させこ』って何ですか?」

すっとぼけた平石の質問に「あのねぇ…」と、言いづらそうに説明する女の子達。

オレはその間に、バックを引っ掛けて一人で教室を出た。


今の会話、聞こえちゃったかな…奈緒に。


複雑な思いで昇降口まで行くと、いきなり誰かに腕を組まれた。

「滝山順平、捕獲成功!」

「あ、千夏」

どぎつい香水のにおい。


「あれ~?せっかくテストから解放されたのに、テンション低いじゃん?」

「あー…うん。ちょっと脳ミソ疲れちゃった」

「疲れる脳ミソなんて、元からあったっけ?」

キャラキャラ笑う千夏が、オレに携帯を開いて見せた。

「あのさ、断っておくけど、夏休み中のウチらの順番は、これで管理するようにしたから」


それは、どっかのサイトのコミュニティ。

“ヘビ☆ロテT・J”って書いてある。

T・Jって…オレか!


「順番の子が前日にメールするからね。ヨロシク!」
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