待ち受けカノジョ。
―――

奈緒の病室は、また誰もいなかった。

奈緒の口に取り付けられた呼吸器の音が響く。


「夏休み忙しそうだね、滝山くん」

「んー、なんか勝手に管理されちゃってるみたいだしね」


千夏が言ってた感じだと、毎日誰かに付き合わなきゃいけないんだろうな。

ホントにオレ、ヘビ☆ロテT・J。


「奈緒は?なんか予定あったんじゃないの?」

「うん…森田さんと1泊で海に行こうって話はあったんだけど…」

残念そうにうつむく奈緒。

「そっか…ゴメン」

「ううん!滝山くんがあやまる事じゃないよ!」

って奈緒は言うけど、高校最後の夏休みを携帯の中で過ごさなきゃいけないなんて、悲しすぎる。

どこにも自由に行けないし、ましてや海なんて…


んっ?…海?


「どうしたの?滝山くん」

「えっ?あ、なんでもない!奈緒、ちょっと買い物付き合ってくれる?」

「え、うん。いいけど?」

オレの急な誘いに、目をパチパチさせながら返事する奈緒。


よし!夏休みの準備だ!!
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