待ち受けカノジョ。
100均の店内をぐるぐる回るオレ。

ソッコーで発見した欲しい物を手に持ちながら、横目でアクセサリーコーナーを覗く。

ふーん、100円でも意外といいのあるのね。


携帯を開き、いかにも『誰かと話してます』的な小芝居で奈緒に話しかける。

「頼まれたヤツだけどさー、どんなのがいいんだよ?」

さりげなーくディスプレイ側を傾けて奈緒に見せると、奈緒が『これカワイイ!』って感じで指をさした。

白いレースリボンのバレッタ。

なんか、奈緒らしい。


「あー、うん、ハイハイ」

奈緒があまりにも気に入ったような顔をしてたので、それをサッとひとつ取ってレジに並んだ。



「あれ?滝山君!」

こんな所で誰?と思いつつ声のする後ろを振り返る。

つっぱり棒を持った“ピンクの魔人が現れた!”

「成田さん!」


2人ともレジ袋をぶら下げながら、エレベーター前で世間話。

「さっきの彼女にプレゼント?」

「違いますぅ~」

そう言うと思った!


「ケガは治った?」

「もうカサブタになりました」


成田さんと手を繋ぐ3歳くらいの男の子が「ママ!おしっこ!」と騒ぎ出した。

「分かった分かった!じゃ滝山君、また病院でね!」

オレにそう言って、バタバタと走り去る成田親子。


へぇ~…成田さん、あんな小さい子供いたんだ。
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