待ち受けカノジョ。


駅までの帰り道、夕焼けの中を桃香と並んで歩く。


「わぁ~、だいぶ日が長くなった。もう夏だね!」

なんだかワクワクしてきた私と対照的な、暗い顔の桃香が言う。

「その前に期末テストだけどね…」

「ちょっとー、嫌な事言わないでよ」

桃香が私をジロッと見る。

「奈緒はいいじゃん。1年の時から学年TOP3のレギュラーなんだからさ!」


…確かにそうだけど。

でも、悔しいけど1番にはどうしてもなれない。

いつも私の前に立ちふさがる、3組の平石って男のせいで。


「ま、奈緒の元家庭教師が今の彼氏じゃ、あたりまえかぁ!」

「え!もうとっくに勉強教わってないよ?」

焦る私を桃香が下の方から覗き込む。

なんだ?そのニヤケ顔は。

「じゃあ今はナニを教えてもらってるのかなぁ~?」

うわっ!下ネタ!?


「バ、バカッ!何言ってんの!?」

顔がカーッと熱くなった。

「コラ待てっ!」

キャッキャと笑いながら走り出した桃香を、ダッシュで追いかける私。
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