待ち受けカノジョ。
父ちゃんと友美さんも、バタバタと旅行の準備をしている。


「うわ!デケぇ荷物!さすが“フィジー1週間の旅”だね!」

「順平が『ゆっくり休んで』って言ってくれたから、思い切って行けるわ!ありがとうね」


友美さんがこんなウキウキしてるの、久しぶりに見た。


「オマエの土産はないからな!」

「父ちゃんに期待してねーよ!」

クスクス笑う友美さん。


「そうそう!順平、悪いんだけど、お客さんにアレ届けてくれないかなぁ?」

友美さんが指をさした先には、これまたデカい紙袋がドーンと置いてあった。

「なに?アレ…」

電車で移動するのに、あの大きさはかなりウザいぞ?

「上杉君の家の近くだし、直接渡してほしいのよ。ハイ、これ住所と名前ね」

ムリヤリ手にメモを握らされる。

それから、友美さんが魅力的な一言を。

「バイト代上乗せしとくからね!よろしくっ」

「はーい!」

そういう事なら、素直に了解!!


「ああ、順平」

父ちゃんがめずらしく真面目な顔で呼んだ。

「ちょっと俺の店行って、ミナミちゃんに挨拶して来い」

「挨拶?」

「ミナミちゃん、今日で辞めるから」

「ええっ!?」
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