待ち受けカノジョ。
店を出て、星空の下を2人で歩く。

いつも待ち合わせしていた所で、ミナミさんがふと足を止めた。

「もう会えなくなっちゃうね、順クンと」


その言葉は、

『もう会わない』という意味。


「じゃあ、ね」

「あっ、あのっ…ミナミさん!」


オレに背を向けて一歩踏み出すミナミさんに、オレは思わず声をかけてしまった。


振り返る長い髪が、ふわっと揺れる。

「なに?」

「オレ…好きでしたよ、ミナミさんのこと」

言うつもりはなかった言葉が、ふいに口から漏れてしまう。


ミナミさんは、フフッと笑った。

「うれしい…嘘でも」



カツカツと響くミュールの音。

その早いリズムは、過去の自分を振り切っているかのように聞こえる。


さよなら。


ミナミさんはオレの前から消えていった。


ほのかに…

香水のかおりだけを残して。

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