待ち受けカノジョ。
トイレで全部吐いた後、ふらつく足で部屋に戻った。


夜中の3時を過ぎ、旅館の中はシーンと静まり返っている。


…奈緒、寝てるかな。


薄明かりの部屋の中、なるべく音をたてないように歩く。


気付かれてないといいけど…今の。


鏡に映ったオレの顔色は、不気味なほど青白い。


夢に出てきた月明かりのように。



奈緒が見たら、きっと心配する。

そーっと布団に滑り込んだ。



えっ?

なに?この感触?

なんかムニッとしたの触った!


バッ!と掛け布団をめくる。


「あ、バレちっ!」

そこにいたのは、ペロッと舌を出してる女の子。

「あっ、葵!?」

ななななんでここに!?


「へへっ、来ちゃった!」

四つんばいでモゾモゾと布団から出てくる葵。

胸の谷間から、目線をそらすオレ。


「マネージャーとココに泊まってんの。さっき悠人から順平がこの部屋にいるって聞いたんだよ!」

「なんだ~、マジあせった!」


オレは気が抜けたようにドスンとざぶとんの上に座る。

葵もオレの横に座った。
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