待ち受けカノジョ。
順子。

あなたと私が出会ったのは、中学校2年生の頃だったわね。

母親が水商売の女だからって、クラスのみんなは私をいやらしい目で見て、汚いもの扱いしてた。

母親のスナックは結構遠い場所にあったのに、よくもまぁバレたと思う。

ひとりぼっちだった私に、優しく声をかけてくれたよね。

順子だけが、私をかばってくれた。


でも、そのせいで、順子まで友達をなくした。

どんなに謝っても、いつも「気にしないで!」と笑ってくれた順子に、私はどれだけ感謝したか。


順子は手先が器用で、ピアノもお裁縫も上手だった。

よく2人で編み物したり、マスコット作ったりしたね。

私はへたくそだったから、きれいに作る順子がうらやましかったな。


一緒の高校に入学して、3年生になって、

そう…今の順平と同じ頃ね。


私達は、恭平と義明と同じクラスになった。

恭平は、芸能人みたいにかっこ良かったから女の子にモテモテで、彼女を絶やしたことはなかった。

義明は、小さい頃からの野球少年で、キャプテンを任されていたほど人望が厚かった。

対照的な性格だけど、なぜか仲良しだったんだよね、この2人。


私達は修学旅行で同じ班になり、それがきっかけで、よく4人で遊ぶようになった。

遊園地とか映画とか、いろんな所に行ったよね。


人間嫌いの私が心を開けたのは、この3人だけだった。



ねえ、順子。

なんで順子は、恭平のことを好きになったんだろう。

私は、順子には誠実な義明の方が、お似合いのような気がしていたんだけど。
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