待ち受けカノジョ。
日にちを数えると、恭平の子供なのは明らかだった。


…さんざん悩んだよね。


悩みぬいて、恭平と順子は籍を入れた。

生まれてくる子供のためにと言って、私と両方の親の反対を押し切ってまで。


順子のお腹が大きくなっていくそばで、恭平は心を入れ替えたように、女の子と遊ばなくなった。

お金が必要になるからって、休みの日もディスコ(今で言うクラブみたいなもんかしら?)でバイトを始めた。


私は、これからずっと、2人をだまって見守っていこうと決めたのよ。



出産の日、分娩室の前の椅子に座って待っていた私は、息を切らしながら廊下を走って駆けつけてくる恭平と会った。

今まで見たことない恭平の必死な姿に、私は恭平の本心を見たような気がしたわ。


オギャーと産声が聞こえた時、恭平はガッツポーズをしながら涙を流して喜んでた。

私は、恭平と順子と生まれたばかりの赤ん坊、親子3人の写真を撮ったわ。

幸せそうな家族写真。


次の日、順子が赤ん坊の名前が決まったと嬉しそうに教えてくれた。

恭平と順子から一文字ずつ取った名前。


『順平』


その時私は、なぜか涙があふれて止まらなかった。


順子、気付いてた?

お見舞いに来た義明も泣いてたんだよ。

「順平を抱き上げた時に、ちっちゃい手に人差し指をのせたら、ぎゅって握ってくれたんだ」って言いながら。
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