待ち受けカノジョ。
私は涙をグッとこらえて、恭平に全てを話した。

恭平は何も言わず、ただ体をガタガタ震わせながら聞いていた。

ギリギリときつく噛みしめた唇からは、うっすら血がにじんでいたわ。


それから恭平は、突然大声で叫びながら壁を思いっきり殴った。

「俺のせいで!」と繰り返し言いながら、何度も何度も殴り続けた。

これ以上右手を痛めつけたら、もうハサミなんか持てないだろうってくらいに。

恭平の体に体当たりして、なんとか止めたの。


「俺が順子を壊してしまった」と、恭平は床にうつぶせて嗚咽した。



順平、よく聞いて。

恭平が早く自分の店を持ちたいと必死で頑張っていた理由は、

「いつも3人で一緒にいたかったから」


仕事場が自宅なら、家から離れなくてもいいでしょ?

順子だって分かってたのよ。

だから、恭平が客の女と出かけたりするのを黙認して、ずっと耐えてた。

脆い心が限界を超えて、壊れてしまうまで。


みんなが、幸せになりたかったの。

みんなで、幸せになりたかったの。


分かるでしょう?順平。


最後に、恭平がポツリと言ったわ。

「俺が順子を不幸にしてしまうなら、終わりにした方がいい」って。
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