待ち受けカノジョ。
「どうも、オジャマしました」

スニーカーを履いた後、深々と2人に頭を下げるオレ。


「順平、またいらっしゃいね」

「待ってるよ、順平君」


おじさんとお母さんに見送られて、玄関のドアをゆっくり閉めた。



空に向かって、うーん!と体を伸ばす。

大きな深呼吸を1回。


良かった、

今日ここに来れて。

ちょっと衝撃的だったけどね。


オレはもう、あの悪夢を見ることはないだろう。

お母さんだって、これから薬を飲まなくても良くなるはずだ。


さっき見た庭の花が、潮風に揺れている。

黄色、ピンク、オレンジ…

バックから携帯を出し、奈緒に見せた。


「あっ、かわいい花!」


奈緒が嬉しそうに言うので、携帯をカメラモードにして、1枚写メで撮った。

「こういう花、奈緒が好きそうだと思ったんだ」

「うん、好きっ!よく分かるね?」


こんな無邪気な奈緒を見ていると、

なんだか心がホッと落ち着くんだ。
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