待ち受けカノジョ。
生まれてきたのは、偶然。

人と人の間に生まれるのも、偶然。


だとしたら、

人と人が出逢うのも…偶然?


バックから携帯を取り出す。

奈緒とこうなったのも、偶然なのかな。


パカッと開く。

「あ、滝山くん」


オレの名前を呼ぶ奈緒の、

いつも変わらない、笑顔。


「滝山くん?」

「あ、ううん。なんでもない」


今のオレはいつもと違う、真顔。


気付いた奈緒は、心配そうにオレを見つめる。

「ひとりで考え込んじゃダメだよ。私はいつでもそばにいるんだから、話してね?」

「うん、ありがとう…」


そうだ。


オレはこれから、

理由を探しながら生きるんだ。



「さっきの花、百日草だよね」

奈緒がおもむろに話しかけてきた。

「ふうん、そーなの?」

「うん。私、花言葉知りたいなぁ!」

「花言葉ねぇ…?」

あんま興味ないや、と思いつつ携帯で検索する。


『百日草(ひゃくにちそう)

花言葉…友への想い』


えっ?

「友への!?」


フォルダボタンを押して、ファイルに保存してあった画像を改めて見る。


一斉に同じ方向へ向いている、鮮やかに咲き揃ったきれいな花たち。


『友への想い』


この花はきっと

お母さんの…心だ。
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