待ち受けカノジョ。
花火を見に行く人たちが、砂浜や道路にゾロゾロとあふれている。


はしゃぐ子供。

腕を組む恋人。

手をつなぎあう家族。

寄り添う老夫婦。


これが偶然なら、

それはもう奇跡じゃないか。



「奈緒」

「ん?」

「これから長い話をするけど…聞いてくれる?」

「うん」



話そう。

オレが生まれた偶然という名の奇跡を。



ドーンと最初の花火が鳴り、わあっと歓声があがる。


海の上に咲いた大きな花を、奈緒とふたりで見つめた。
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